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神宮式年遷宮に学ぶこと – 記者ブログ

伊勢神宮では来月初旬、20年に一度の神宮式年遷宮が執り行われる。

皇大神宮(内宮)・豊受大神宮(外宮)とも隣接する敷地にまったく同じ形で社殿を建替え、遷宮の儀に用いる装束や神宝、さらには鳥居、橋にいたるまですべて新調するというこの伝統行事。およそ1300年の歴史があり、今回で62回目を迎える。周辺にある14の別宮も来年にかけて一斉に社殿の建て替えが行われるため、伊勢全体で建設ラッシュが起こるようだ。

遷宮に必要な御用材(檜)の総材積は約8500㎥。三重県伊勢市の南部に位置する宮域林で、大正時代の終わりから200年後の御用材の確保を目標に檜を育成している。また、屋根に葺く約2万3千束もの萱は、神宮の葺山で10年がかりで集める仕組み。

建替えで発生した廃材は、宇治橋の両側にある鳥居に再利用されたり、伊勢神宮とゆかりの深い全国の神社に払い下げられたりと、最後まで無駄なく、大切に活用される。
20年に一度というサイクルは、自然との共生を再認識するとともに、伝統文化や日本古来の建築・美術工芸技術の継承にも適した期間とされている。同じ木造建築で礎石建ての法隆寺(こちらは築後1300年以上!)と対極にあるとされる伊勢神宮だが、建物を壊すことにも文化的な意義があるわけだ。

ちなみに、豊受大神宮は衣食住をはじめとするあらゆる産業の守り神だそう。年内に仕事の関係で伊勢神宮を訪れる予定なので、住宅・建築分野に携わる者としてしっかり参拝し、世界に類を見ない伝統文化を改めて学んできたいと思う。(沖村)

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