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JAPANTEX 出展者情報 南三陸ミシン工房【工房竣工】

JAPANTEX 出展者情報 南三陸ミシン工房【工房竣工】


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【工房竣工のご報告】

東日本大震災のあった2011年秋に南三陸の地で、
ふんばろう東日本支援プロジェクト(西條剛央代表)の「ミシンでお仕事プロジェクト」として
被災地支援の活動を始めました。

元手になるお金もなく、多くの方にネットを通じてご寄附を募りました。
小学生からご年配の方、そして海外からもたくさんのお申込みをいただき、
集まったお金をもとにブラザーさんの家庭用ミシンを購入し、
仕事として取り組んでみたい南三陸町の女性の方々にミシンの講習会を開き、
使い方を説明しながらお渡ししました。

当時は、避難所生活から仮設住宅に入居し始めて間もないころです。
突然、ありとあらゆるものを津波で流され「被災者」となってしまい、
やることがなくなり、支援品に頼る毎日。
大切な家族や友人、職場、自宅、生まれてきてからこれまでの生きてきた証である写真などを失くし、
誰もが茫然自失となっていたころです。

ミシンの講習会に来たときは顔もこわばり、落ち着かない様子だったことを思い出します。
それが、ミシンを前にしてエコバッグ作りを始めた途端に、顔が輝き始めます。
真剣な表情で一心不乱にミシンにむかう姿はとても美しくて輝いていました。
講習会を終えて、ミシンを片手に参加者の皆さんは笑顔でお帰りになっていました。

それから2年。
ずっと絶えることなく、縫製の仕事をサポートしてきました。
東京にも、南三陸にも拠点がない中で生産管理をしていくのは大変でした。

それでも、一心にミシンに向かう姿に心を打たれ、また多くの方にご支援いただいたからには
続けていこうと決めてボランティアの仲間の皆さんにも支えられ、活動を続けてきました。

町を離れた人、元の仕事に戻れた人、ミシンはもらったけど、仕事としてやるのは
難しくてあきらめた人、さまざまですが、現在も引き続き十数名の女性がミシンに向かっています。

そしてこの度、南三陸町歌津に本格的な工房ができました。

昨年5月に町の南部に7坪の工房を建設しましたが、縫い手さんが多く住んでいる町の北部から
車で30分ほどあることと、本格的に縫製の仕事をするには手狭だったこともあり、
解体移築し、新たに建設された18坪の平屋と合体させて25坪の工房ができました。

これまでは「工房」とは名ばかりで、震災後、わずかに残った町の公共施設を月に数度借りながら、
検品出荷作業をし、ふだんはそれぞれが材料を持ち帰り、自宅で作業をしていました。
自宅とはいえ、仮設住宅は4人家族で四畳半2間です。
大変狭く、ミシンの音も隣近所、或いは家族に気を使いながらの縫製でした。

資材管理、生産管理を円滑にするためにも自前の建物が必要でしたが、
建物を借りようにも、津波の被害が大きく全流失の家屋がほとんどだったため、
借りることのできる建物がなかなかありませんでした。

そんな折に株式会社クロスカンパニーさまからお声をかけていただきました。
earth music&ecologyなど、全国にある自社の店舗に募金箱を設置していただき、
お客様から集まった募金をご寄附いただきました。
おかげさまで、その寄付金で念願の工房竣工と相成りました。

募金をしてくださった全国のクロスカンパニーの顧客の皆様、
そしてクロスカンパニーさまに厚く御礼申し上げます。

また、工房に必要な工業用ミシン類は、(株)ニットソーイングクラブさまにご支援いただきました。
全国に佐藤喜美枝ニットソーイングクラブという洋裁教室を展開されていることもあり、
ミシンのほかにも洋裁教室で使う机や椅子、
資材等のご提供から現地での講習会も開催していただきました。
また、これまでにも各自の家庭で使うための職業用ミシンやロックミシンのご提供をいただき、
私たちの活動を支えてくださいました。

バキュームアイロン台につきましては、IIDA Japan Chapter
(国際インテリアデザイン協会日本支部)様からの寄付金で購入させていただきました。
皆様には、厚く御礼申し上げます。

震災から1000日が過ぎました。
東北エリア以外では、震災の報道も少なくなってきています。
それと同時に被災地への関心も急速に薄れてきています。

しかしながら、被災地の現状は、まだまだ先が見えない状況が続いています。
高台移転もなかなか進まず、将来の不安を抱えながら、仮設住宅で暮らす人がほとんどです。
ミシン工房に参加している女性たちは、そんな不安をミシンを踏むことで乗り越えようとしています。

5年、10年と復興への道のりは遠く険しいようです。

仕事に携わるということは、人から必要とされたり、人の役に立っていることを実感したり、
遠くの方から励ましのお便りをもらったりと、社会的承認を得ることにつながります。
そのことがどれだけ大事なことか、
おかあさんたちの生き生きとした笑顔と接しているとよくわかります。

いっときの支援でなく、継続的に取り組む仕組み作りが求められます。
拠点となる工房ができたことで、引き続き長く活動を続けていくことができます。

縫製のお仕事を南三陸の女性たちにしていただくことで、
縫い手の女性に縫製賃をお渡しし、
そして彼女たちの手から生まれた製品が多くの方の手に渡ることで、
被災地のこと、南三陸町のことを伝えていければと思います。

地縁血縁がない中、被災地でのボランティア活動から始まった活動です。
週末の休みを利用しての東京からの現地活動で、余裕がないこともあり
ご迷惑をお掛けしたこともございましたが、多くの方のご支援でここまで来ることができました。

NPO法人南三陸ミシン工房を立ち上げた際に快く独立を承認してくださった、
ふんばろう東日本支援プロジェクト代表西條さん、
活動を支えてくれたボランティアの皆さん、
不動産屋さんがない土地柄であちこち工房建設地を探し求めてもなかなか見つからず、
窮状を知って土地を貸してくださることに同意してくださった歌津中在の千葉さん
(縫い手のつた子さんと中学の同級生でした!)、
アドバイスをくれた前歌津町長牧野駿さん、
すばらしい歌津をつくる協議会前会長小野寺寛さん、
ミシン工房へお仕事をくださった企業の方々、
ハギレなどの生地の支援等を通じて材料の提供を続けてくださったオーダーカーテン業界の皆さん、
法人格がない頃に手を尽くしてネット販売への道筋を作ってくださったヤフージャパンの皆さん、
ミシンのメンテナンスでご協力いただいたブラザーさま、
分身の製作を依頼してくれたふなっしー、
商品をお買い求めくださった皆さん、
2011年秋に呼びかけに応じて寄付金を送ってくださった皆さん、
そして何よりも、ひたむきにミシンに向き合って活動に参加してくれた縫い手の皆さん。
本当にありがとうございます。

これからが大変であることは重々承知しております。
東京オリンピックに向けてがんばっぺし!とおかあさんたちと約束しています。

今後ともどうかよろしくお願い申し上げます。

特定非営利活動法人南三陸ミシン工房
代表 熊谷安利