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旧家 – コラム Adagio

遅れてしまいましたが新年おめでとうございます。
これからもぽつぽつとこちらのコラムを書いてまいりますのでどうぞお付き合い宜しくお願い致します。

さて、年明け最初の話題はこちら! 

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写真の建物です。現在市民に開放されていまして、先日(去年末)私も使わせて頂きました。
この方の住居としては贅沢なのか質素なのか判断に苦しみますが、実はこちらは小泉八雲さんゆかりの元伯爵邸(移転)です。

門構えも当時としてはほどほどの立派さだったのではないかと思いますが、どことなく解放的で、庭と玄関が一望できます。
玄関は間口も程良くゆとりがありまして、たたきには履物の脱履に使用する平石が使われ、そこからはまっすぐな板張りの廊下が続いています。

廊下は庭に面しており、季節毎に多彩な顔を見せ心地よく過ごせたことでしょう。
室内は薄暗い畳敷きではありますが、床の間は標準よりも奥が深く、変わった位置に書院があったり・・・と借りられた一部屋だけでも少し昔の、オリジナルな和風住宅を堪能できました。

現代人に合わせてエアコンとガスヒーターが設置されていますが、元々の部屋自体広いのと、開放的な故、機密性が低いので多少肌寒く感じられます。
当時はまだ火鉢が一派的だった筈ですので、もっと寒く感じられた事でしょうし、灯りも乏しく夕方には文庫本一冊読むのも難しかったのではないかとずうずうしくも室内に寝転がって想像するのもまた楽しいものでした。

1つだけ残念だったのは、せっかくの邸宅なのにどうしても手入れが行き届いていない雰囲気がところどころで感じられたことでしょうか?
庭はそれなりに職人さんを呼んで樹木の剪定などをしているのですっきりとした感じでしたが、拭き掃除が畳みにしろ、廊下にしろ蔑にされがちな気がしました。
昔の建物は今以上にメンテナンスが定期的に季節の催しに取り込まれていたものです。
畳替えや三十日の大祓などはやはりそれに合わせて行い、また修復などの細かな事も出来る限り短めのスパンで点検し、守っていきたいものだな、と改めて再認識させられた訪問?でございました。

それにしても、やはり文化財級の家屋が細々とでも民間に開放されているのは、とても勉強にもなりますし、感性を磨く良い機会にもなりますので素晴らしい事ですね!
今年はどんな住環境と出会えるか、古いものも新しいもの、とても楽しみです。

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