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海外通信<ブラジル編>インテリアデザインフェスタ 「CASA COR」?

海外通信では、海外で暮らす町田ひろ子アカデミーの卒業生が、現地で感じる日々のことをレポートします。

前回から続く、サンパウロで開催されたインテリアデザインフェスタ?をご紹介します。
??では一戸のインテリア全体をご紹介しましたが、今回は印象的なカットやディテールをご紹介します。

ストーブ
ブラジルはよく常夏の印象を持たれますが、サンパウロ以南の地域では冬は暖房が必要なほど寒くなります。
このインテリアフェスタでは、ブラジルらしいリゾート感あふれる解放的なインテリが目立っていましたが、
一方、寒さへの憧れとも言うべき、ストーブをアクセントにしたインテリアも多く見られました。


ブラジルでは希少な北欧テイストを感じさせるコーディネーション。
色の使い方がとても“うまい“。
壁の色を白にしないところがカジュアルになり過ぎないポイントでしょうか。


柔らかいオフホワイト系の色だけでまとめたインテリア。
大胆な色使いではないが、しっかりメリハリを出している。
欧米はこういう色使いがとても得意です。


ダイナミックなストーブがインテリアの中心。
ストーブに火が付いたら色のアクセントになりそうです。

スタルクデザイン バカラシャンデリア照明ではフィリップスタルクデザインのバカラのシャンデリア“マリーコキーヌシャンデリ” が目を引いていました。
この奇抜なデザインのシャンデリアが異なる提案性で見られたのはとてもラッキーでした。


比べると、あまりに個性のあるデザインなので、いきなりアクセントで、と言うより似たような近い個性をリピートさせた方が
調和が生まれるように感じます。

ウォールグリーン
日本でも2〜3年前に話題を呼んだウォールグリーンの提案が複数見られました。
ブラジルは植栽が育ちやすく、観葉植物をたっぷりと楽しむ傾向にありますが、室内用か室外用かの分類が日本とは異なり、
私自身も当初は、観葉植物の選択に戸惑いました。
窓も多く明るい部屋でも、建物が暑さに強くできているので、室内では温度がぐんと下がり、日が足りなくなりがちなのです。
夏はエアコンが要りませんが、この時期は家の中がとても寒いです!


キッチンのスパイスラックに。 ハーブであれば、調味料の一部として…(笑)


バスルームでの提案。


リビングのアクセントウォールに。
グランドピアノやシャンデリアの存在が霞んでしまうくらいです。

子供部屋
サンパウロの街を歩いていると、まるで日本のコンビニのようにたくさんの子供服のブティックが見つけることができます。
ブラジルは富裕層も多く、子供にかけるエネルギーや経済は桁違いです。
経済性だけでなく、子供の数が多いと言う事でもあるので、豊かさの象徴と言えるかもしれません。
このインテリアフェスタでも、子供部屋の提案が多く見られました。


天井にワイヤーをはりめぐらせて、フェルトのバスケットを吊るす。
写真左下にあるレバーで各バスケットを自在にコントロールできるようになっている。
きっと子供は壊すまでレバーを回し続けるでしょう(笑)それでもワクワク楽しい!


ウォールクライミング。床には畳が。
10年前、全日制の生徒が“家の中でロッククライミング“という提案をしてずいぶん驚かれたが、今ではすっかり普通の事。
畳を置いたところが新しい!


壁一面の鏡とバレエのレッスンバーを据え付けている。
場所をとらず、可変性もあるので、日本の住宅でも実現性高いですね。レッスンのモチベーションも上がりそうです!

美しいコーディネーション
コーディネーションはエレメントが少なければ簡単というものではありませんが、隙間がないほどの数を組み合わせるのは大変です。
テキスタイルにも欧米的組み合わせの特徴として『柄on柄』という言い方がありますが、欧米のインテリアは隙間なく膨大な量のエレメントを美しくコーディネーションするのが得意だと改めて思いました。


エレガントな柔らかさとエキゾチックな強さがきれいに調和。デザイナーは男性です!
この提案空間はベッドルームやバスルームもたくさんのエレメントで埋め尽くされながらも豊かで美しいコーディネーションでした。


空間全体にビビットカラーをたくさん使いながら、強くなり過ぎないお手本のようなコーディネーション。


クラシカルなフォルムの家具に金属素材の建材と建具、動物皮の敷物、前衛的なデザインの装飾小物・・・・、
あらゆる要素を総出させているのに美しく調和している・・・、色のトーンが揃っているのはまずは大きなポイントでしょうか。

アイランドキッチン
インテリアにこだわりを持つライフスタイルでは、ブラジルはパブリックスペースとプライベートスペースをしっかり分けているのが一般的です。
中でもダイニングルームは家族の日常用と来客・特別な時用と分けてある事が多く、又、キッチンも独立型が圧倒的に多く、
オープンスタイルの住まいを探すとなるとなかなか見つかりません。
これは、一つにはお手伝いさんに家事を任せているライフスタイルから来ていると思われます。
家事動線や家事をしながら子供の様子を・・・などと言うような事をあまり考えなくていいわけです。
勿論、お手伝いさんがいる家庭ばかりではありませんが、インテリアにこだわりを持つ人たちのライフスタイルではこれが一般的です。

ところが最近、若い世代の共働きの家庭が増えたことや、オープンなスタイルがカッコいいと言うデザイン的理由、又、私達のような外国人が
増えたこと・・・などでアイランドキッチンを求める声が増えてきたようです。

このインテリアフェスタでもアイランドキッチンの提案が数多くありましたが、人間工学・動線の視点で見ると恐ろしく労働量が多くなりそうな
ものばかりでした(笑)家事を住まい手がやると言う歴史が浅いからでしょう、使い勝手は改良の余地がありそうです。


とてもダイナミックで美しいデザイン、ワクワク感のあるアイランドキッチン。
だが、移動距離が長く、全体に高さ・奥行き寸法が使いづらそう。

デザイナー
日本のインテリアコーディネーターにあたるのが、インテリアデコレーター(Decoradora)です。
ですが、ヨーロッパなどと同様、建築家がインテリアを手掛けることが少なくありません。
このフェスタの出展者も3分の2以上が建築家でした。
一様にインテリアに携わる女性の装いは非常に華やかです。
このフェスタに限らず、建材展などに行っても、芸能人やモデルのような女性がたくさん歩いています。


基本的にデザイナーたちは提案空間にはいないが、たまたま雑誌の取材現場に遭遇した。
このお二方は建築家で今回共同で出展。緑色の装いの女性は、特に今回のフェスタで注目を浴びている。
ハリウッドのスターみたいなDOYAGAO 。


会場のCafeで知り合ったインテリアデコレーター。
中央の女性はなんと70代!仕事を抜け出してフェスタに来るのがやっと、という急がしさだとか。
皆、堂々としていて素敵な女性たち。


会場内のブックストア。おしゃれな女性がたくさん!

ご紹介したインテリアはほんの一部ですが、100人あまりのデザインはどれもオリジナリティに溢れ面白かったです。
このフェスタはこの後サンパウロ以外の都市でも開催されるので、その都市によって異なる特徴や傾向を是非を見てみたいものです。
海沿いの都市や、リオデジャネイロのようなリゾートと古都が混在している都市、アマゾン近くの自然の豊かな都市・・・
同じ国でありながら全く異なる気候や文化、ライフスタイルによってどのようなインテリアが繰り広げられるのか・・・、
本当に興味深いものです。
インテリアフェスタを通して皆さんにもブラジルのライフスタイルの一端を感じて頂けたらとてもうれしいです。

東京校コーディネーション講師 岡部美津子