<液状化対策にも有効な地盤置換工法「スーパージオ(SG)工法」の普及拡大を目指す(一社)液状化対策軟弱地盤対策推進協議会が設立された。これまで対策は難しいとされてきた戸建住宅の液状化被害だが、SG工法が業界の常識を変えていくかもしれない。>
SG工法は、軟弱地盤を優良地盤に置換える戸建住宅用の地盤置換工法のひとつ。建物の重量分の地盤を取り除き、基礎の下に軽量ブロックを敷き詰める。家の重量と同等の地盤を抜き取ることで、重荷負担を軽減し、不同沈下を防ぐという仕組みだ。3年前に、建築士事務所、スタジオCoco―Li(千葉県船橋市、猪野明彦代表取締役)が開発。これまでの施工実績は約400棟。
SG工法では、再生プラスチックで形成したスーパージオ材という軽量ブロックを使用。1つのブロックは、4つの支柱に支えられた四角い形状をしており、内部の9割以上は空間となっている。その重さは約5kgと軽く、大きな重量低減効果が期待できる。
スーパージオ材は、コンパクトに積み上げ、保管することが可能。保管や運搬にかかるコストも大幅に抑制できる。加えてスーパージオ材の素材は高強度なプラスチックであるため、微生物などによる劣化がなく、耐久性も備えている。
軟弱地盤など様々な地盤に対応可能
SG工法の最大の特長と言えるのが、あらゆる地盤に対応可能なこと。特筆すべき点は、液状化対策としての有効性だ。これまで、戸建住宅の液状化対策として有効な手立ては確立されていなかった。液状化現象は地下水に浸かっている砂地盤が、地震の振動で高まった水圧に耐えきれずに破壊されて発生する。
SG工法は、液状化対策として、スーパージオ材のブロックを、水だけを通す透水シートで梱包するオプション仕様を用意している。これにより、液状化が発生してもスーパージオ材の中に「水」のみを一時的に保水。地震の揺れがおさまるとともに地中に水が戻り、地盤が安定するという原理だ。
SG工法の普及拡大へ地対協を設立、初年度1千棟の採用目指す
今年5月に、SG工法の普及拡大を目指す、(一社)液状化対策軟弱地盤対策推進協議会(地対協)が設立された。代表理事には、Coco‐Liの猪野代表取締役が就任した。まず地対協では、SG工法専門の技術者を養成。工法の施工管理を徹底する。そのうえで全国の地盤改良工事業者や工務店などを対象に、SG工法の加盟店を募集。全国で研修会を実施し、受講者にはSG工法の施工認定証を発行。認定証を持つ検査員のみでSG工法の責任施工ができる体制を整備して、初年度1千棟の採用を目指す。