56年ぶりの開催となる2020年 東京オリンピック(パラリンピック)が正式に決まった。本命対抗馬のマドリードと、欧州アジア両大陸にまたがる開催を目指したイスタンブールを大差の得票で破り圧勝した。日本での夏冬・五輪は64年の東京、72年の札幌、98年の長野に続き4回目だ。
さっそく株価が反応し、日経平均株価は終値が344円高い1万4,205円となり、ゼネコンや不動産業、ホテル・宿泊・観光業などで投資家の買いが入った。一方、与党からはアベノミクス4本目の矢だといった声があがり、交通インフラを始めとした公共事業により五輪特需の期待の声も高まる。首都高速道の改修、品川駅発のリニア新幹線の前倒し―などの声も。
さらに、メインスタジアムとなる国立競技場や選手村(中央区晴海)に近い臨海地区ではマンションや土地の動きが出てきているという。選手村自体も大会終了後には1万7000戸のうち一部を改修し分譲マンションとして売り出すと聞いた。
しかし一方で、オリンピック開催運営と施設建設の費用は、12年ロンドン、16年リオでも分かるように国内外を問わず、いつも資材・人件費など建築費高騰の歴史を持つ。
東京五輪のテーマは、復興と夢と希望のオリンピックであったはず。被災地復興のための資材や官民の投資資金を東京に持ってくるのはもってのほかであり、震災復興の加速と東京五輪の両立を図る建設資材供給・価格抑制の仕組みが早期に必要だ。
五輪招致委員会が発表した経済効果は3兆円で、有識者の中には10兆円との見方もある。また、15万人以上の雇用を生み出し人件費(給料)が上がるのは良いが、被災地の人たちにも経済的効果が必ず得られるような具体的な対策もあればいい。五輪招致はオールジャパンで戦ったが、2020年の開催時にいつのまにかTOKYOオンリーになって終わるのではなく、オールJAPAN「復興の祭典」であることを願いたい。
なお、五輪招致委員会では4,000億円の開催準備基金があるというが、建設・運営コストの高騰で”都民税”のさらなる増税は避けてもらいたい……。(住井)