だんだんと朝晩が冷え込む季節になってきた。寒さが厳しくなるにつれて、ありがたさが増すのがお風呂だ。寒風の中を疲労困憊して家に帰っても、お風呂につかるだけで生き返る。
先日、住宅用ガス設備大手のリンナイを取材した。海外展開を強化しており、海外での売り上げが、全体売り上げの3~4割を占めるまで成長している。内藤弘康社長は「国ごとの文化に合わせた商品展開が市場攻略の秘訣」と話していた。日本の製品をそのまま海外で販売するケースはない。
とくに興味深かったは、海外のお風呂の文化の話。欧米などではもっぱらシャワー。お風呂のバスタブにつかる文化は日本固有のものだという。だからお風呂の追い炊き機能は日本でしか必要ないという。海外のお風呂にもバスタブはあるが、お湯をためてつかると「贅沢なことをするな」と怒られるらしい。日本に生まれてきてよかった。シャワーだけなんて何とも味気ない。
そして思い出すのが、ある古風な旅館に泊まったときに入った薪炊きのお風呂のこと。旅館の方がお風呂に入る時間に合わせて、薪炊きのお風呂を用意してくれた。これがすごく良かった。体の芯まで温まり、いつまでもポカポカしていた。それ以来、薪炊きお風呂には特別な効能があると信じている。(沖永)