これは・・・私が実際に体験した方から耳にした、怪談、ではなくて、本当にあった不思議な出来事です。
どういう経緯でそのような事が起ったのか、話しを聞いていても実は未だに分からず、別の友人と首をかしげております。
もし、お分かりになる方いらっしゃいましたら、是非教えてくださいな。笑
それは、私が猫のボランティアさんと一緒にちまちまと保護をしておりました時、猫に関しては師匠と呼べる女性から聞いたお話でございます。
彼女は、当時、集合住宅に住みつつ、猫の保護活動をしていたのですが、ある時、保護した猫のうちの一匹が突然姿を消しました。
保護した猫が外部へ逃げ出した可能性は無きに等しいと思ってください。
頭数が1つ少ない事に気付いたものの、保護当初の外猫というものは慣れるまでに時間がかかる事も多く、時には数カ月押入れから出てこなかった、というケースもあるのですが、一応無事を確認しておこうと探してもどこにもいない。
家の中から出られる筈はないし、もしかして何かに挟まって動けずにいるのでは・・・とも考えたものの、鳴き声もしない。
考えられる場所は全てチェックして、どうしたんだろう、と心配しつつもどうしようもなく。
彼女はとてもとても忙しい人でしたので、気にしつつもやるべき事を片付ける事にしました。
その日であったか、翌日であったかは定かではありませんが、家の中で猫達の世話をしていた時に、微かに猫の鳴く声が聞こえたそうです。
彼女はすぐに、家の中で行方不明になっていた子だと気付き、必死にその声の元を探しました。猫の鳴き声はどこかくぐもって聞こえ、中々居場所がわかりませんでしたが、右往左往した末にたどり着いたのは、何と、家具もない壁の前でした。
壁の向こうなら話は簡単ですが、彼女の住んでいた家でその壁の向こうに猫がいられるスペースは無く、しかし、確実に声は壁から響いてくるのです。
ここまで聞くと、怪異現象?とでも思いたくなりますが、彼女はとても現実的に、その壁の中に猫がいる、と冷静に判断し、工事会社を呼び猫を無事助け出しました。
「換気口とか、まぁダクトに通じる場所から中に入っちゃったみたいなのよね」
そう彼女はあっさりと言い、その話をしてくれた時点でその後も似た事が起きたとか、また彼女のボランティア仲間にも同じ経験をした人がいる事などを教えてくれましたが、 同じく集合住宅に住んでいた私はかなり徹底して自らの家で同じ現象が起こりえるか調べて内部からの壁中への迷い込みはまずあり得ない、という結論に達しました。
ダクト類は大抵天井部分に集中するもので、少なくとも人間の身長までの高さに埋め込まれているダクトは見つけられず、更に言えば、壁自体に隙間があり、そこへ入れるような穴は通常はないはず。ハムスターサイズならまだ別ですが、相手は小さくとも猫です。
その後、別のボラ友さんにその話をしたところ、彼女もやはり、よく考えれば考えるほど、どんな仕組みでそんな事が起こったのが、説明されても分からないとこぼしていました。
そもそも、私は現場となった家を見ていないので更に訳がわからないのですが、壁の中の猫がたどった道のりを説明出来る方、いらしたら是非教えて頂きたいのです。
気がつけばその話を聞いてから既に7年以上が経過しております。
考えられる過程、でも構いませんのでどうぞよろしくお願いします。
壁の中から猫の鳴き声が聞こえたら、怪奇現象よりもまず、本物の猫の可能性を疑いましょう、というお話でした。