<三井ホームは、都内初となる5階建てのツーバイフォー木造耐火建築物を銀座で建築した。外壁建て起こしシステムを採用し、建物密集地での建築に対応するなど、都市部ならではの建築技術を導入した。>
三井ホームでは、2004年からツーバイフォー耐火建築の供給を開始した。そして今回、同社初となる木造耐火建築を東京都中央区の銀座二丁目に竣工した。都内初の木造5階建だ。ただし、1階部分はRC造になっており、その上に4階建てのツーバイフォーの耐火木造建築が建っているイメージだ。
これは、5階建ての建築物の場合、1階部分を2時間耐火にする必要があるため。
建物用途は1階部分が店舗(喫茶店)で2~5階が共同住宅。オーナーがクリニックを運営していることもあり、共同住宅部分は、介護サービスなども受けられるよう配慮している。敷地面積は59.69㎡、延床面積212.05㎡、最高高さ18m。
当初、オーナーは8階建てのRC造に建て替えることを考えたが、エレベーターなどを設置すると、有効に使える室内の面積は極端に少なくなってしまうという問題があった。また、RC造の場合、どうしても柱の一部が室内に出てきてしまうため、その点でも室内スペースを圧迫してしまう。
ツーバイフォーは、壁で構造躯体を構成しているため、柱によって室内空間が圧迫されることはない。エレベーターの問題については、椅子型の昇降機を階段の一部に設置した。
建物密集地でのツーバイフォー建築を可能に
都市部の建物密集地にある建物でツーバイフォー工法を採用する際に、大きな課題になるのが施工の問題だ。
通常のツーバイフォー工法であれば、工場で製造したパネルを現場に搬入し、クレーンなどを使いながら現場で組み立てていく。しかし、都市部の密集地では、クレーンを使った施工が難しい場合がある。また、隣接する建物との距離が十分になく、足場を使えないこともある。
こうした点に配慮し、今回の建物では、建て起こし工法を採用。これは、まず1階部分と2階の床を施工し、2階の床の上で壁パネルを組み建ててから、油圧ジャッキを用いて垂直に起こしていくというもの。2階の床の上で壁パネルの仕上げまで行うので、クレーンや足場が必要ない。
今回の建物では、この建て起こし工法に改良を加えたものを採用した。