<大建工業は住宅の既存の内壁の上に簡単に施工でき、断熱性、調湿性が向上するリモデル用断熱パネルを開発。8月から発売する。>
断熱効果により1年を通じて冷暖房の負担を軽減
震災後の電力供給不足などから、一般消費者の間でも省エネ・節電意識が高まりを見せている。内窓の設置が拡大するなど、省エネリフォームを実施する家庭も増えている。
ただし、内窓の設置といった開口部の断熱改修と比べると、壁や床、天井などの断熱改修は普及が進んでいないのが実情だ。壁や床、天井などの断熱改修は大規模な工事が必要で、費用も高額になるため、一般家庭ではなかなか工事実施に踏み切れないのだ。
そうしたなか、大建工業は、リモデル用断熱パネルを開発した。同社の調湿壁材「さらりあ~と」に下地材として断熱効果のある付加断熱パネルを組み合わせたもの。付加断熱パネルには、自社で生産しているインシュレーションボードを採用した。
インシュレーションボードは、加工がしやすいうえ、断熱性に優れている。今回採用したインシュレーションボードの場合、熱伝導率0.05の断熱性能を発揮するという。付加断熱パネルはこのインシュレーションボードと下地側の表面部に合板を貼ったもの。厚さは12.5㎜となる。
同社が行ったシミュレーションによると、旧省エネ仕様の住宅の居室をリモデル用断熱パネルを使って壁四面をリフォームした場合、1年間で冷暖房の負担を約5%軽減できるという。
「さらりあ~と」を仕上げ材に採用、優れた調湿性能も発揮
一方、付加断熱パネルの上に施工する「さらりあ~と」は、同社の無機質エンジニアリングパネル「ダイライト」に、多孔質ケイ酸化合物を加えてつくった調湿壁材。湿度が高い時は、微細な空気孔に余分な湿気を吸収。湿度が低くなると、ため込んだ湿気を放出する。
500mlのペットボトル1本分(6畳間、湿度75%の空間に、壁一面(8㎡に施工した場合))という一般的なクロス仕上げの壁の約7倍の吸水力を持つ。室内を人が快適と感じる40%~70%の湿度に保つ。
「さらりあ~と」には、様々なバリエーションがあり、調湿に加え、消臭機能やシックハウスの原因となるホルムアルデヒドを吸着・分解する機能、ウィルスの繁殖を抑制する機能などを付加したものもある。
リモデル用断熱パネルは、施工性にも優れている。既存の部屋の壁の上から付加断熱パネルの合板面を表にビスで固定。さらにその上に「さらりあ~と」を施工する。既存の壁紙をはがすことなく施工できる。また、「さらりあ~と」が仕上げ材となるので、新たに壁紙などを貼る必要もない。
工事の手間が省け、工期を短縮できる。大掛かりな工事の必要がなく、1部屋でもリフォームが可能だ。