「世界中の人びとの豊かで快適な住生活の未来」への貢献を掲げるLIXIL(東京都千代田区)は、インドネシアの貧困層の衛生環境を改善するプロジェクトに乗り出した。
インドネシアでは、下水道の未整備により年間600万トンのし尿が未処理の状態で河川や運河に排出され、腸チフスや下痢が蔓延。5歳以下の乳幼児が毎年4万人以上も死亡しているという。インフラ投資が経済成長に追いついていないため、農村部における土壌・水質汚染が深刻な問題となっている。
こうした現状を受けて、無水トイレ「エコ・サニテーション」の普及を目的とした事業を開発コンサル会社のi-Incubate(東京都新宿区)と共同提案。このほど、「インドネシアにおける循環型無水トイレを利用した保健衛生改善事業」が、独立行政法人 国際協力機構(=JICA)の「協力準備調査(BOPビジネス連携促進)」に採択された。
「エコ・サニステーション」は、トイレの床下に設置した装置内でし尿を乾燥+発酵分解。地下水や河川を汚さず、下水道や処理設備といったインフラが不要なため、住宅ごとに設置することで衛生環境の改善が期待できる。
同社は2010年からベトナムと徳島県上勝町において住民の要望を踏まえた総合的な実証研究を実施。今後はインドネシアの生活習慣、需要、市場状況などに関する詳細な調査を行うとともに、無水トイレのプロトタイプの開発・検証を進めていく。