最新のJAPANTEXはこちら

編集長日記ーーミラノサローネの「シャネル」


今回のフォーリ・サローネ(市内で開催される展示)で、
最も感銘を受けたものの一つがこれ。
シャネルのTHE LITTLE BLACK JAKETでした。
この建物は、18世紀初めに教会として建てられたもので、
今はエキシビション会場になっています。

中に入ると、ドームのような高い天井の空間が広がります。
そして、その周囲には、
カール・ラガーフェルドが撮影したセレブリティの写真が!


多くは女性ですが、男性も。
全員、黒いシャネル・ジャケットを着用、
またはまとっています。
それがこのTHE LITTLE BLACK JAKETというタイトルの理由。

この圧倒的、迫力!
そして、注目したいのは、見事なライティングです。
同行の写真家・下村氏によると、通常の照明をテクニックで、
このようにピタリと作品に当てているとか。
照明によって、浮き上がるかのように、
作品がくっきりと鮮やかな存在感を示しています。

この写真はモノクロですが、
印画紙に焼き付けられたものではありません。
マットな紙に印刷されたもの。
額装もせず、角の4点を虫ピンで止めてあるだけです。
いわば、ポスター(?)のようなものなのですが・・・。
この空間と、照明、そして一点一点の完成度の高さが、
印刷という限界を凌駕しているだけでなく、
プリントでは出せないフィクションの世界観を
強調しているように思いました。

空間の中央には、1mほどの高さに積まれた紙の山が4つ。
その中から、1枚、好きな作品を巻いて渡してくれます。
会場に貼ってあるものとまったく同じ物です。
この贅沢な体験の締めくくりにふさわしい演出でした。

0